労働者災害補償保険編(前十字靱帯損傷 その1)

創立記念式典行事

バレーボール

「そ~れいっ!!」

「よしっ!!」

「バッシーン!!」

「そらっ!!」

「ピーーーーーーーーーーーッ!!」

社内行事

19XX年6月1日。今日は会社の創立記念日。

 40数年前に現取締役会長 堂本 辰男 が先祖代々所有する山を造成して分譲したのがきっかけの会社です。いまや地方都市ではありますが高級住宅団地の代名詞ともなっているような、街の名士がこぞって豪邸を建てている一角です。

 この会社の開発する団地は、市内の東西南北どの団地も高級住宅団地としての定評があり、地方ながら数億円の豪邸が無数に建ち並んでいます。もうお城ではないかと思うような家もありますし、瀬戸内海の景色を自分のものにしたような絶景の家もあります。

 私が入社したころは、旧市内にはめぼしい山もなくなっていましたので、近郊の通勤1時間以内ぐらいの立地に500区画程度の中規模団地を展開した頃でしたが、さすが100万人の政令指定都市だったことから、出しても出してもすぐ売り切れる状態で、ついには隣接する市にまで進出して2000区画級の大型団地を新規発売した時期でした。

 それでも、ほんの3年でのこり300区画となっていましたので、バブル景気と相まって、1期分譲のころは建売で1棟2500万円ぐらいだったものが、いまや1棟1億8000万円なんていうサラリーマンには手が届かないのではないかという怪物になってきたのです。

 しかし、バブル景気は日本中に蔓延していましたので、この1億超えの建売でも、横浜でサラリーマンをリタイアして、若いころ買った建売が当時3000万円だったものが2億で売れたので、税金を払って、足らずをこれも高騰したゴルフ会員権を処分して現金で購入したいというお客様がぞろぞろと現れ、あっという間に完売したのです。関東のバブルは我々の想像を超えていました。

 そのような超好景気に支えられて、現在は経営を長男の堂本昌弘に譲り、若手中心の刷新を図っている真っ最中でしたが、これまでの常識を平気で否定する平成元年バブル組の私たちは、「新人類」と言われて、まるで宇宙人でも見るかのように先輩社員から気味悪がられていたものです。

 例年のごとく創立記念日である6月1日は、市内の体育館を借り切って総社員200名あまりで記念式典が開かれました。

 式典の後はバレーボール大会。

 毎年ソフトボールやバレーボールなどのスポーツを、ビールを飲みながら行うのがこの会社の恒例行事です。

 普段朝8時前に出社して、会社の周りのごみ拾いから一日が始まり、夜はいつも午前様になる不動産業界。

 月末の鬼のような目標達成への執念に神経をすり減らす毎日ですが、この日だけは昼過ぎに流れ解散。

 社員みんなが楽しみにしている年一回の憩いの日です。

 記念式典では年間表彰があり売上1位、収益1位、特別賞、皆勤賞、勤続表彰・・・・。

 誰かに何らかの表彰があって最低でも5万円くらいもらえますので、女房の知らないへそくりのできる日でもあります。

 午前中の試合も終わり、総務の用意した豪華なお弁当を食べて、昼からの試合に備えます。

 優勝すると、チームに30万円の賞金が出ますのでみんな本気、マジです。

 「ピーーーーーーーーーーーッ!!」相手チームのサーブが外れました。

 自分のチームの若い社員がボールを取りに走ります。

 先にボールだけ投げられたのでそのまま相手側を向いて自チームのサーブを待ちます。

 「バキッ!!」

  不意に私の左足から、なにかはじけたような乾いた甲高い音が骨伝いに聞こえてきました。

 「なにが起きたんだ???」

 あたりを見回すとボールを拾いに行ったはずの若い社員が、スライディングの後のような格好をして手足を上に浮かせたまま私の前で静止していました。

スライディングのあと

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フィードバック

  1. Priti のアバター

    So he pushed you down 🤭

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