自動車保険(任意・自賠責保険)のはなし(16)

着地点(示談的解決)

 傷害事故の慰謝料の算定には3種類の基準があります。

1. ひとつは、損害保険会社各社が保有する賠償基準。

2. 次が、弁護士会の作成している賠償基準。

3. 最後に、裁判所で運用している算定基準。

着地点

 損害保険会社が使う基準は「自賠責基準」ともいわれ、自賠責での補償の範囲内でまかなえる内容のものです。

 弁護士基準は、弁護士に依頼して交渉するものですのでどうしても弁護士費用が発生します。たとえば着手金が30万円くらいであっても、成功報酬として、獲得した賠償金額の10%~20%ぐらいかかります。賠償額が大きくなればなるほど高額な弁護士料が発生するため、弁護士が賠償額が比較的低めの自賠責基準で交渉成立させて成功報酬を得ようとすると賠償金をすべて持っていかれる交渉になってしまいます。だいたい保険会社は自社に基準を持っていますのでなかなか譲りません。そこで弁護士基準は自賠責基準よりもかなり高額な基準(倍以上)となっています。

 私も以前紹介しましたが、峠で正面衝突した際に、道のど真ん中を走っていた相手方に10割の賠償を求めましたら、保険会社の基準では5:5だからという言い訳をされて頭に来ましたので、「保険会社が5割しか出さんのんなら、残りの5割をあんたが出せばいいだけの話じゃ!(広島弁)」と相手方の自宅の玄関先で若気の至りで息巻いたものでした。

 ただ、この理屈は間違っていないと私は今でも思っています。もちろん保険会社から保険金の支払いを受けるときには示談合意書というものを用意して、保険会社が支払う金額以上の債権債務不存在条項がしっかり記載されていますので、そこに注意して示談を行う必要はあります。

 話が反れましたが、裁判所の算定基準に戻りまして、この基準は、明治時代に民法が制定されて以来、長い年月をかけて積み上げてきた判例から算定される認定基準になっています。裁判の歴史で言うと、明治時代の交通事故は馬車に轢かれた損害賠償事件だったりします。裁判になると裁判所基準での認定になってくるのです。

馬車

 後遺障害の自賠責基準では、例えば軽症の通院が1ヶ月あったとすると19万円の慰謝料、2ヶ月だと36万円という具合に表になっています。(令和5年基準)

 現在は実通院1日につき4300円のようですが、私の受けた事故当時が4100円で計算されていました。1ヶ月の通院とは隔日での通院が基準ですので、実際には月15日の通院となります。私はちょうど100日通院していました。ですから、まず慰謝料として表の「7月」の所の68万9000円(令和5年基準で97万円)という欄に目をつけました。そしてこの表は「軽症」の場合の表ですので、「通常」、「重症」とランクがありますが椎間板ヘルニアによる神経症状を理由として「重症」ランクの25%割増の86万1250円(同124万円)を慰謝料として請求したのです。

 証明はMRI診断画像と通院履歴。なにしろ毎日欠かさず通い続けましたから、合計で治療費と併せて116万円程です。治療費は病院に支払い済みですので手元には来ませんけど・・・。

 損害保険会社は自賠責保険が先に実行されます。そこでまかなえなかった部分を任意保険が填補するのです。自賠責保険の対人賠償額は傷害の場合120万円が上限です。120万円までの補償だと損害保険会社は実損がないというのが制度上の論理なのです。なんか「保険でお支払いします。」と保険会社の人があいさつに来たときは太っ腹と思いましたけれど、自賠責の上限を超えない程度の金額提示をしてきたときには「せこい!!!!!」と本気で心の中で叫んだものです。ただ、結局のところ請求額はそれに収まってしまいましたが。

 もちろん理由があればそれ以上の請求をすればいいのですが、日本はアメリカと違い懲罰的損害賠償を認めていませんので、実損がどれだけ証明できるか、その点が重要なポイントとなります。

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交通事故の示談交渉等は、経験豊富な専門家に相談しましょう。

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