自動車保険(任意・自賠責保険)のはなし(7)

被害者の権利

 久々の天堂教授のお出ましです。

天堂教授
天堂教授:金融法務の第一人者、わずか30歳で教授となった天才。好きなアーティストは小野正利。
この歳で渋すぎだろう!

 自動車人身事故の被害者になるとどのくらい加害者に請求できると思いますか?

 まず範囲。

 入院通院費用はもとより、鍼灸、医師の認めた温泉療法、そして通院交通費、付添看護費用、弁護士費用などの積極損害死亡・後遺障害による逸失利益や休業損害のような消極損害そして慰謝料です。

 賠償と言うのは、不法行為(事故)が発生したことを原因として「損害」が発生した物に対する「埋め合わせ」のことを言い、そのマイナスを金銭に換算したものが損害賠償金です。

 慰謝料と言うのは、不法行為(事故)を引き起こしたことの謝罪の意思表示を金銭で行うものです。

おカネはお金

 ですから、損害賠償と慰謝料はまったく別物なのです。

 損害賠償請求には消滅時効が定められています。

 不法行為の消滅時効は民法で、損害と不法行為者が判ってから3年、不法行為の時から20年と定められています。これは、傷害の程度がはっきりして、かつ、加害者が誰なのか判った時から3年経つか、どちらも、もしくはどちらかしか判らない場合は事故の発生の時から20年経てば請求権が消滅時効にかかるのです。

 傷害の程度がはっきりするというのは、例えば治療が長引いた場合、医師がこれ以上治療をしても良くも悪くもならない「症状固定」という状態になったときを指します。

 また、不法行為の時から20年というのは「除斥期間」と呼ばれ絶対的に20年で権利が消滅することになります。絶対的に20年というのは、消滅時効というのは裁判上の請求などがあれば時効が中断し、裁判が確定すればその時から今度は10年という時効期間がスタートするのですが、除斥期間にはそのような「中断」や「再スタート」がなく、とにかく20年経てば権利が消滅します。

 この権利消滅は加害者が消滅時効が成立したことを主張しなければ権利はまだ残っていますので、消滅時効がかかる前に債務の承認をさせるともはや時効の援用ができなくなる性質があります。

 例えば、債務の承認の例では、以前の民法では短期消滅時効といって、本則の消滅時効期間とするのは相当でないと考えられていた一定の法律行為に対して、1年とか2年とか、消滅時効期間を短く設定したものがありました。

 代表的なのが「飲み屋のツケ」です。1年でした。

飲み屋のツケ

 スナックのママが、ツケの回収に、常連客の勤める会社へ集金に廻ります。実は1年前から払ってもらってない飲み代がありました。

 ママが「あのときのそろそろ支払ってもらえないかしら、、、わたしにはあなただけなの、、、」と常連客に猫なで声で問いかけます。常連客は下心見え見えなので「わかった、わかった、今度行ったら払うから・・・。」とその場を凌ぎました。

 これを「債務の承認」と言います。

 常連客は、仮にツケを踏み倒したかったら「あれ、1年以上前のだよね。もう払わない!」と宣言すれば良かったのです。これを「時効の援用」と言います。

 時効という権利は、それを行使するという意思表示をしなければ適用になりません。消滅時効であれば「時効で請求権が消滅した!」と宣言しなくては権利行使したことにならないのです。

 またいったん治療が中止され、治癒もしくは症状固定となって特段後遺障害となるケースには至らなかったとしても数年経って、どう考えてもあの時の事故が原因で後遺障害になったものと思われる状態が発症した場合、治癒時に示談を交わしていても、その時には予想ができなかった場合で、かつその事故が原因であると証明された場合はその後遺障害の診断があった時から3年は消滅時効の猶予期間があると考えられています。

 これは示談後にでも発生した障害の補償も認められることを指しますので、思い当たる節のある場合は市役所の無料法律相談などを活用して弁護士に相談するといいですよ。交通事故の場合は一回目の相談は無料のところが多いですから。

【小野正利本人が歌ってみた】『You’re the Only …』~ピアノver~【ローマ字詞付き】小野正利オフィシャル:Masatoshi Ono OFFICIAL @masatoshionoofficial6011

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