女子大生のレスポンス
私は昼間は暇な不動産営業。不動産業って年に10日くらい働けば一年分稼げるなんて言われていました。TOP営業は人脈を使って商売しますので、机に座って電話で売りたい人と買いたい人をまとめて、手数料やマージンを抜いて売り抜ける。
理想の不動産屋ってこんな商売です。大着が過ぎて、マージンを50%とか200%とか暴利を貪るバカがいましたので、宅地建物取引業法で手数料の制限が規定されることになったのです。今では一般的に周知されているのは物件価格の3%+6万円。厳密に言うと、200万円までは5%、200万円~400万円までは4%、400万円以上から3%。
しかし私は売り物を選べない不動産ディベロッパーのサラリーマン。会社が開発してしまった、不人気の商品も売り切らなければならない。そのために、日夜飛び込み営業で客を見つけて、現地に案内して、その場で手付金を下ろしに行かせる。そこまで追い詰められた不動産営業です。表向きは。
誰も、その営業を尾行して本当に仕事しているか見張ってなんかいませんので、朝礼が終わって「行ってきま~す!!」と会社を飛び出たら夜の9時まで帰りません。月に1本、物件によっては3か月に1本契約を上げていれば、仕事しているんだと勝手に思われているようなものです。見て見ぬふりをしていると言った方がいいでしょう。売り子に辞められても困りますので。
ということで、結構昼間は、どこかの駐車場に紛れて車の中で寝てることが多い毎日でした。

私の母校は、4月中旬から前期が始まり、7月1日から8月31日まで夏休み。9月1日から9月14日までは前期試験で、9月15日から9月30日までは中休み。10月1日から後期が始まり12月10日から冬休み。1月8日から後期の残りの授業が始まり1月15日から1月31日までが後期試験。2月1日から4月中旬までが春休み。
お気づきでしょう。私の母校は年間の半分が休日だったのです。
当然、相手も暇な女子大生だったので一日に50本以上のメール交換が行われていたのでした。それまで私はPHSを使っていましたが、この子とメールをするためにcdmaOneに機種キャリアを変更したのでした。

内容は本当に日常を語るものでした。彼女も法学部でしたので、あるときは法律の質問、夜中には、おばあちゃんがどうのこうの、お母さんとけんかして口もききたくないから自分の部屋で布団かぶっているとか・・・おそらく私の想像するに、女の子同士だと普通に交わしている内容だったのではないかと思います。
この子は、毎日100kmの道のりを電車で通学していました。いまどきとても真面目な大学生で、彼女が卒業するまでの2年間、会うことなくこの関係が続いていましたが、ほとんど夜にどこかに遊びに行くとか、さぼっていることがない、毎日きちんと帰宅して、ちゃんと大学生をしている子でした。

ですから、住宅団地の現地で本当に仕事中でも、行きや帰りの車の中でも容赦なくやってくるメールにレスをしていました。
当時私は「レス」の意味を知りませんでした。
彼女がよく「レス、レス」と言うのですが意味もわからず返事をしていたのです。
彼女とメールをするようになって1ヶ月くらいしたころに意を決して聞きました。
「レスってなあに?」
「レスポンス。返事のことよ。」
「ふ~ん。」
「・・・。」
ある夜、部下を一人乗せて本社に帰っていました。
この部下は少し尖った感じの今どきの若者でしたが、よく考えますと私のメル友と2歳しか違わない世代です。英文科卒でしたので、よく車の中でABBAを歌っていました。私も子供のころ、ラジオ番組でのヒットチャート毎週1位のこの名曲が大好きで、歌詞も英語で覚えていました。いまでもカラオケを字幕を見ずに歌えます。
Dancing Queen (Official Music Video Remastered) ABBA – Does Your Mother Know (公式リリックビデオ)
ちょうどこの部下の顧客の夜訪帰りで、成果もなく帰っている途中でしたが山道を下る際でも、いつものようにメールがやってきす。市内に入り4車線道路を走っていて信号が赤になったので停まっていました。そのときちょっと長いメールが来たのです。ピポピピピポピン♪ピポピピピポピン♪ピポピピピポピン♪ピポピピピポピン♪1メール64文字ですから何回も届きます♬
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