ヒューマンドキュメント生命保険編(5)

胃潰瘍その5(メタボリックシンドローム)

 [前回]翌朝、執刀医が回診に来て開口一番「あんたは大変だった。」と言われました。なにが大変かというとこの身体ですから、おなかも相当出っ張っています。中身は内臓脂肪。メタボリックシンドロームの典型例です。

メタボ腹

 こんな体の人のお腹を切ると、切るところ切るところで脂肪が溶けてドロドロ流れ出てくるため、メスは切れなくなるは、内視鏡は曇って見えなくなるは、おかげで本当は5箇所で良かった穴が、余分な肉を押さえるために1箇所別のところに穴を開けなくてはならなくなったんだと説明がありました。しかも胃の周りは作業をする必要があるので脂肪吸引をしたとのこと。

 全部吸引してくれれば良かったのにとも思いますが、脂肪吸引をすると血栓の元になるそうで必要最小限に抑えるのだそうです。それで、リカバリー室で師長さんがきつめの靴下を履かせてくれて、なんども様子を見ていたことに合点がいきました。血栓がそのまま肺塞栓症にならないか監視してくれていたのです。その予防には、きつめの靴下がいいそうなのです。仕組みはよくわかりません。手術前に靴下持ってきてと言われていたのですが、最初から血栓の予測を立てていたようです。僕の用意したのでは緩すぎて、もっとキツイのを持ってくるように若い看護師さんに指示して、二重履きさせてくれていました。

靴下

 中途半端な脂肪吸引のおかげで、現在の僕のお腹は、胃の周りだけストーンと引っ込んでいて胃の下から急激に盛り上がっています。久しく、自分のお腹が引っ込んでいる姿を見ることになるとは思いもよらないことです。

 術後1週間高熱にうなされました。

 それと、いままで最高血圧95、最低血圧60以下だった僕が、生まれて初めて高血圧だと検温のたびに言われました。朝なんか170くらいになっていたそうです。

 熱で頭痛はひどいし右腕は痛いし、お尻は痛いし、毎日座薬を使って痛みを抑えていました。

 看護師さんに「ハイお尻出して」といわれてグイっと座薬を突っ込まれるのです。

病み付きになります^-^;

 術後3日目から食事が始まりました。

 といってもドロドロの重湯です。

ほぼ液体のおもゆ

 でも胃の中がまだ安定していなかったので食欲はありません。

 無理して時間をかけて飲みました。

 これが、日を置いてだんだん固いものが出てくるようになるのですが、胃の逆流を防ぐために胃の入り口を絞る手術ですので逆に考えると食べたものも入りにくい構造になっているのです。

 ちょっとでも量が多かったら、胃の入り口で激痛が走ります。

 胃にはいろんな所から神経が走ってきていますのでその神経を伝って今度は放散痛が走ります。

 つまり一口失敗すると胴体全体に電気ショックが起きるような痛みです。

 この痛みに今でも悩まされています。

 胃の大きさが3分の2になっていますのでいままでと同じ量が入りません。そこでゆっくり確かめながら食べて「ある」ところで止めないといけないのです。

 その限界ラインはおなかがいっぱいになる感触でわかるのですが習慣とは恐ろしい。

 お腹いっぱいになっていままで別腹に思っていた最後の水1口が命取りです。この水1口で胃の中の重量オーバーをもたらし悪魔の放散痛に襲われるのです。

 これはなかなか慣れることができません。

 味の濃い食事のときが失敗しやすいのです。

重めのおかゆ

 ゆっくりゆっくり・・・・・・・・・・・・・・。

 とにかく、胃の口の大きさに合わせて飲み込まなくてはなりません。

 「ちゃんと30回噛んでから飲むんですよ!」配膳してくれる看護師さんが、その都度言い残していきます。

 この41年間したことのなかった超スローな食事を強制されています。ほとんど噛まずに飲み込むタイプでしたので苦痛です。

 時間をかけてゆっくり食べれるようになったら退院です。

 週が明けてそろそろ退院の話が出るかなと思っていたある昼食時、後ろでなんか気配がすると思ったら看護師長がじ~~っと見張っていました。僕がどんな食べ方をしているのか監視していたのだそうです。なにしろ錠剤1個も通らない胃ですからちゃんと指示通り30回噛んでいるか見張っていたようです。

 入院してつくづく実感しました。おいしいものがおいしく食べられることこそ幸せを感じるんですね。

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